長谷寺は、今でこそ綺麗なお堂がたくさんの新しい感じのお寺だが、
実は鎌倉最古の杉本寺に次ぐ古さで、私の小さな頃は真っ黒いお堂に、
線香の煙がもくもくしていた。お釈迦様の一生を描いた漫画本が売っていて、
遊びに行くたびにそれを立ち読みしていた覚えがある。
山門をくぐったら、その庭園には四季折々の花が咲き、右手には写経場があり、
さらにその奥には崫(いわや)洞窟がある。腰をかがめないと終いは出られない。
左手にはゆかりの鎌倉文士たちの石碑もある。
正面の階段を上ったところに、いくつものお堂がある。
上がり切って右を向き、真ん中がご本尊の木造十一面観音さまの「観音堂」だ。
その右が「阿弥陀堂」で、厄除阿弥陀と言われる阿弥陀像が安置されており、
これは源頼朝四十二歳の厄除祈願の為に作られたと言われている。
もとは長谷寺の近くにあった「誓願寺」(廃寺)の本尊という。
左手のお堂は「大黒堂」で、鎌倉七福神のひとつの大黒様がおいでになる。
この「七福神めぐり」も、鎌倉の寺社巡りのとっかかりとしても最適で、
また折りをみてご案内したいと思う。
お堂たちを右に見て、まっすぐ奥にいけば、向こうに海が広がる。
様々な仏像、そして寺と海…鎌倉の特色を見事に備えた長谷寺は、「はじめての鎌倉」を、
楽しみたい人に最適な寺であるかもしれない。
ひとつひとつのお堂や、仏様、石碑に色々なエピソードがあるのだが、
あまり詳しく言及して飽きてしまわれると困るので、この辺りにしておく(笑)