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主馬盛久

2014年1月01日

平成二十六年 甲午。 おめでとうございます。
つつがなく新年を迎えることができました。

午年。 鎌倉を巡る馬の話は数あれど、
長谷でウマと言えば、主馬盛久。です。よ。ね。
江戸時代には長谷小路、鎌倉時代には武蔵小路と呼ばれた
由比ガ浜通りに頚座があります。
掲示もされていて、ご存知の方も多いと思いますが、敢て此処で…。

その父主馬盛国は泣く子も黙った清盛の右腕。
涙なくしては帰れない能演目の盛久。

八百年余り前、処刑前夜に観世音菩薩の霊夢を被った盛久。
図らずも観音様をお奉りする長谷寺に続くこの場所で、
処刑のその時、盛久持参の金泥の経に光が差し、
太刀取りの目が眩み、太刀が二つに折れるという奇跡が起きました。
頼朝はこの話を聞き、更に同じ時、同じ霊夢を受けたことが解り、
これもお導き。と信じ盛久を許すのでした。

なんと…美しい。

小さな名所も数ある長谷。
普段は、何気な~く通り過ぎてしまいますが、
この奇跡も満更大袈裟でもなさそうな気がする程夕日が美しく、
夏には貴重な涼しい木陰もできるところ。
(…面前での幾多の泥酔徘徊をお許しください)

此処を通りかかったら、遠い軌跡に思いを馳せ、
出来ればあやかりたいです。

午は、南、昼、盛夏を象徴する。そうです。
皆様のこの一年が万事ウマくいき、
明るく元気にすごせますように。

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写真と文:泳休 モリオカカオリ